参道の両脇に建ち並ぶ梅ヶ枝餅などを売る風情ある空間をしばし歩くと、山に向かっていくように歩くためか冷たい空気がより似つかわしく感じられ、ほどなくして太宰府天満宮の境内へと入った。すると社殿に向かって赤い橋が渡る上を巨木が覆い、その木の幹に沿って目線を落とすと、数メートルに渡って木が土上に太い根をはっているのが見られ、その圧巻な姿は多くの参拝客の目を引くものだった。そして、生きることへの執着心を物語るように巨木の皮からは緑色の草が無数に生え、その先端からポタポタと水を落としていた。
そんな躍動感ある天満宮から数百メートル離れた光明寺に行くと、様子が一変する。そこには京都のお寺にあるような庭園美の世界が広がっているのだ。
なぜ石をこんなふうに配置するのか、小石の渦をこう巻くのかと、これだけの工夫を凝らす庭園を不思議にも思ったが、それは多くの人が部屋を装飾するのとまるで似ていると私には思えた。凝って凝ってとうとう自分の世界観を現すようになるまで凝るのである。そして、私はほんの先端だけ色づいたイロハモミジを美しいものだと思いながら、しばし計算されつくしたこの庭園を見入っていた。
我が家のベランダの向こうにもこんな広がりがあればと思ったが、東京では望めないので、実家の旭川で大雪山を借景に何かつくってみたいものである。
太宰府天満宮の巨木
光明寺境内
庭園
福岡から伊万里へ移動して大川内山に行った
伊万里の大川内山にかかる橋はやはり伊万里焼
橋の向こうに陶工の墓がある
大川内山は山の麓にある
大河内山周辺はのどかな田園地帯