暑い最中、ガラガラの電車に乗り込みオペラシティにあるIççに行ってみるも、休館中でがっくりし、それならばとオペラシティから歩いて5分ほどの住宅地にひっそり位置する刀剣博物館に行ってみた。
ここには大戦後、駐留軍に没収されずに済んだ日本刀の数々が収蔵されているのだが、今は現在日本各地でつくられている日本刀が展示されていた。因みに、日本刀の保存には先日酒田市に行った際に立ち寄った本間家の一人である本間順治氏も大きく関わったらしく、入り口のところに像が建てられている。本間美術館以外にもこの家の人々はいろいろやっているようだ。
入館して二階に上がると、日本刀の新作が展示ケースの中でキラキラ輝いていた。鉄の美術品というにふさわしいこの美しさは、その刃文がとりわけ目立ち、しかしその武器としての意味合いや切れ味を思うとやはり絵画のように楽しく見ているわけにもいかない気分になり、私は金持ちの家で虎の剥製を見るのと同じような心境になっていった。
マッチョな日本の美術に浸った後博物館を出ると、まだ16時前だというのに辺りはすっかり薄暗く、その原因をつくっている雲からは小雨が降ってきた。おかげで初台に来るときの猛暑はややおさまり、私の帰宅は少なからず楽なものとなった。
通りでは、太陽にすっかり水分を奪われた枯れかかったアジサイがちらほら見られ、アジサイには酷な暑さだと思った。そしてそれは人にも堪える暑さのはずなのに、それでもオペラシティの前の交差点で交通整理を続ける警官がとてもタフに見えるのだった。
刀ではないが、棍棒をさしているだけのことはある。