『帝国のオーケストラ 第二次大戦下のベルリンフィル』をBSで見ました。
内容はタイトル通りです。
当時のベルリン・フィルを指揮していたのはフルトヴェングラーでしたが、番組では主に団員の当時の姿について解き明かされてました。
ナチスが台頭するドイツで今まで通りにオーケストラを維持していくのは難しくなってきます。何より、ユダヤ人団員4人が辞めてアメリカへと渡ります。団員の中にナチス党員は極僅かで5人とのことでしたが、他の団員たちは彼らと接するときにとても気をつかうそうです。
団員たちは大戦中、兵役免除されていました。そのことからしても、ドイツ(ナチス)が音楽を国の誇りとしていかに重要視していたかがわかります。
基本的に団員たちは政治にあまり関心がなく、どちらかというとタブーで、芸術に政治は持ち込まずとの意志で楽器を演奏していますが、戦後アメリカツアーなどに行くと、ナチスの手先は帰れコールのデモ隊にあったりします。戦後は、在籍していた数名の元ナチス党員は当然のように除名されます。それでも、ベルリンフィルの団員がナチスのオーケストラとの意識をもっていないのに対し、周囲の国々の人はそうは思ってくれません。
早朝から子供たちにヴァイオリンを教え、午後はフィルハーモニー劇場に出かけてリハーサル、その後また子供の指導、そして夜は本番のコンサートに出かけるという団員たちの暮らしが、戦争によって完全に破壊されてしまいましたが、戦後、数名の団員を自殺などで失い、元党員を除籍して、再度立て直して今のベルリン・フィルがあると思うと、ちょっと歴史の重みを感じます。
ただ、今の若い団員は相変わらず政治と芸術は無関係であるとの建前からか、あまり戦争との関連のことは知らない、あるいは無関心で、純粋に楽器演奏に励んでいるのだそうです。というか、この手の人たちは大抵良くも悪くも音楽漬けで、そんなものだと思ってしまうのですが、それがただ単に続いているということではないでしょうか。ただ、知らないからこそ政治に利用されてしまうという面があるのは事実ですし、怖いことです。