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2011年9月1日木曜日

利尻③

目覚めると、今日は利尻富士が頂までよく見えていた。昨夜は風の音が強くて、利尻の人はこの風の音を毎日聞いているから慣れているのかなと、うるささにやや不平を抱きながら眠りについた。そして朝になってもその風は変わりなく吹きすさび、窓の外の利尻山を眺めながらやはりこの地形にこの風はつきものかと、山に早朝の挨拶をしながら窓を開けた。利尻の人はこのくらいの季節をふつうに秋と呼ぶが、秋の風は冷たかった。


この日の予定はサイクリングである。朝、霧雨が降っていたものの、ホテルの売店でカッパを買って昨日行けなかった沓形方面へのサイクリングロードを走ることにした。

二匹の猫が魚の残骸を食べている港のほとりを通り過ぎてややきついアップダウンを越え、夕陽丘展望台あたりからサイクリングロードへと入る。
朝の利尻山

出会った猫



しばらく海のそばを走ったところで、私はロードに突如現れたイタチに驚かされた。昨日観光バスのガイドさんが、利尻には熊も蛇もいないがネズミを捕らせるためにイタチを野に放って以降イタチがいると言っていた通り、こんなところにもいるではないか。しかし、イタチは私がカメラはどこかと探している最中に、とっとと草むらに駆け込んでいってしまった。

その後礼文島が望めるようになり、しばらくその景色が続いた後は、利尻山を目指して走るコースになる。
右側にうっすら見えるのが礼文

向こうに礼文島が、、、

利尻山へ

雄大な眺めのサイクリングロード

利尻山に向かって走るのは爽快だった。が、途中からこのまま山に入っていっては生きて帰れなくなるのではないかと不安になってきた。先日同様道の両側に密生する笹には、これを除いて開拓するのはどれだけ大変かとしみじみ思わされ通しだ。そんなことを考えて走っていたためか、山側を走るこのロードはとても時間が長く感じた。そして、沓形の街が見えたときには大げさにも助かったとの思いがこみ上げて気て、肩の力が抜けほっと一安心した。

利尻は人口3000人ちょっとの島である。そのため一般道を走る車は少なく、コンビニはセイコーマートしかなく、昨日今日と走ってみて思ったのはバブル前の日本人の生活が残っているところだということだ。チェーン系といえば港前のレンタカー会社くらいで、他に大手資本の影はない(あとは北海道電力くらい)。産業は漁業と観光で、人々はいたっておおらかである。

利尻山を真ん中にその周囲で生きる人々。東京だったらこの中心地とは皇居になるのだろうか。

山の影響でそれぞれの場所によって風向きや風の強さがどんどん変わる。しかし、都市生活につきものの情報というものから解放され、風の強さとフェリーの時間だけを気にして過ごした2日間はとても貴重な経験となったと思う。
バスのガイドさんがフェリーターミナル二階の喫茶店のカレーが
おいしいと言っていたのでランチに食べてみた。
香ばしくて程よく辛い、そして確かにおいしかった。

こちらは宿の夕食
真ん中にスターのごとく鎮座するウニは絶品だった。
刺身もホッケ煮も文句なし。