北スペインの小さな町パンプローナで行われるサン・フェルミン祭では、街に12頭の闘牛(攻撃性の低い去勢牛も入っている)が放たれ、大勢の男達と僅かな女たちがともに走り、牛は闘牛場まで疾走します。8日間に渡り8回それをやります。
私は読んでませんが、アーネスト・ヘミングウェーが第一次大戦後の虚無感に襲われていた頃にこの祭を見て実存を取り戻し、『陽はまた昇る』のなかでこの祭について描いたことで、広く知られるようになったとか。
そんなヘミングウェーに共感する外国人が、ヘミングウェーの常宿だったホテルを祭の期間中40年先まで予約していました。やはり、熱狂する人はするようです。
この祭の注目はなんといってもエンシエロ(牛追い)です。男たちは怖い怖いと言いながらもその恐怖がいつしかアドレナリンに変わり、牛追いを始めるのでした。
ところが見ていると、牛を追ってるはずが追われているのです。追われた挙句、毎日のように負傷者が出ます。いつから牛追いではなく牛追われになったのでしょうか。少なくともこの祭は16世紀頃から続いているそうですが。
諏訪の御柱祭を思い出させる熱狂でした。
男たちの祭に命をかけるそのエネルギー。そしてそれをロマンティックに(かはわからないが)見つめる女たち、ギャラリーの女たちによってより張り切るところもあるのでは。
動物愛護団体からいろいろ圧力のかかる闘牛ですが、今もこうして続けられているようです。
因みに、去勢牛が入っているのは、群れだと人を襲わない闘牛の習性を利用しているそうです。転んだりして群れからはぐれた闘牛を去勢牛が最後尾から追っかけて吸収してあげるという、スムーズに牛たちが進むための工夫だそうな。
BS2の『スペイン サン・フェルミン祭』からでした。
(注:クリックすると音が出ます。)
マリア・カラス プッチーニの蝶々夫人