闇夜が明けると一気に気温が上がる。あれだけ鳴いていた虫たちは昼の太陽のもとでも鳴いている。同じ虫なのか、それとも既に息絶え違う虫が鳴いているのか。夜より音の多い昼間は、その音を出すほとんどの原因が人なので、他の生き物たちは迷惑かもしれない。でも、こうしてずっと同じ空間で生きてきているなら慣れているかも。
何時間か前には暗闇と安全や宣伝のための灯しかなかった空間に、今は橋があり人が活動し草木がこれほどの面積を保ち電信柱が点々とあるなんて、なにかのマジックのようだ。
本当に、マジックなのかもしれない。
今日の川は流れが早く、水もいつもより深かった。上流の方で雨が降ったのだろうか。いつどこで降った雨がこうして流れてきたのかと思うと、網走沖で見たオホーツク海の流氷がアムール川の淡水であるような、そんな地球の広さを感じる。
『静かな大地』という池澤夏樹の小説では、登場人物たちは淡路島から北海道の静内に移住していた。
最初の方しか読んでないが、相当苦労したらしい。
この目の前のいつもより早い川の流れは何をもたらすんだろう。