アールデコで統一された旧朝香宮邸では、現在110点のポスターが紹介されている。それらはすべてタイポグラフィという文字による表現に主眼がおかれたものだ。
若い人が目立つ客たちは、「20世紀の」といってもやはりポストモダン以降の作品に注目が行くようで、後半部分の作品に群がっている。そして、そのDTPの専門学校にでも通っているのかと思われる若者たちは、「これTシャツにするとかわいいね~」などと話しながらキャピキャピビジョンが広がるようだ。
そういう広がりのない自分がすっかりおばさんだなと自覚をもつハメになったこの展示で、私はIBMのポスターが妙に気に入った。Iは目でBはハチでMはMのあのポスター。
会場にいた若い子たちの誰かがデザインしたTシャツをいつの日か着ているかも知れないと思うとそれはそれで楽しい空想だった。