『同じ時のなかで』はソンタグによる批評や講演をまとめたもので、心を打たれるところが1箇所はあった。そのためそれなりに満足でき、続いてソンタグの『アルトーへのアプローチ』を読んでみた。
アルトーという人をよく知らないこともあり、内容はきちんと理解できなかったと思う。しかしソンタグのアルトー論への熱意は伝わってきて、やはり何か心を打たれるものが少なからずある。なので続いてソンタグの小説である『火山に恋して』を読んでみた。
すると見事に2ページで挫折した。
どこか批評を抜けきれないような、あるいは事象を説明することから抜けきれないような文体が、どうしても小説としては読んでいられなくなってしまう。ソンタグはやはり活動家がふさわしい。
それでもあれだけの字数を書き上げたのだから、文学への彼女の思いは相当強いものだったのだろう。そしてその一本気ぶりが、私にとってのソンタグの魅力であると、ソンタグの著作3冊を読んだところでの感想となった(『火山に恋して』は2ページ+数行しか読んでないが)。