MRIという、体内の磁場に対する共鳴作用を利用した比較的安全かつ精度の高い検査が近年出てきたのは多くの人が知るところだ。
今回の検査では造影剤を利用するために、そのメリットと副作用の危険性を小奇麗な四畳半くらいの部屋で医師から説明を受け同意するかしないかを迫られるのだが、死ぬ確立が80万分の1という。緊張感が増す。
MRIの検査室では狭いカプセルに入って検査が始まる。うるさいですからと看護師にイヤホンをされるとなにやら癒しの音楽が流れてくるが、当然検査の轟き音はガンガン聞こえてくる。これはすご い、これはすごいぞと、昭和館を訪れた際に体験した防空壕を思い出す。
右からも左からもドドドドという音が耳を攻め、下からは地響きのような振動が続く。止んだかと思うとまた始まり、ようやく終わったかと思うと今度は造影剤を注射されてまたカプセルに入れられる。戦時中はこうして狭いところに大勢が身を隠して空襲に耐え、しかも死亡率はきっと造影剤の80万分の一どころではなかっただろうと思うと、造影剤の死亡率でひるんではいられないと気を強く持つ。
検査は結局無事終わった。こうして心臓に悪い約一時間が過ぎ去った。そして自分が高齢化してこのような検査が多くなることにやや途方に暮れた(それなら同意しなければいいだけ)。