飲食店の建ち並ぶこの通りはカフェも多く、ついつい立ち寄りたくなるが、ぐっとこらえて500~600メートル歩く。するとこどもの城、ついで国連大学が見えてくる。通りを挟んで向こうには青山学院大学があり、このあたりも飲食店がたくさんあって賑やかなのだが、この日は国連大学前の広場で開かれていた青空市が他の何より目を引く。
都心の青空市をマルシェというそうだが、ここではさらに「ファーマーズマーケット」と銘銘している。バケツやかごなどの日用品や生産者直接販売の野菜、パン、花など、それぞれに店主の趣向が感じられる品がところ狭しと並んでいる。50ほどのブースが出て、見てるいだけでも十分楽しめる市だ。屋台の車がそれを取り囲むように何台も停まって、なにやらエスニックな香りを流してくれるのもまた雰囲気を盛り上げる。そして買い物客は食品の食べ方などを出展者と話すなど、会話がいたるところで弾んでいる。
こんな屋台が他にもたくさん
座って食べられるところもある
こうしてマーケットになっている
そこから更に数百メートル直進すると地下鉄の表参道駅に突き当たる。そしてそこを右折すると、この日のお目当てである根津美術館が見えてくる。最近建てられた建物はとても新しく、和風テイストでまとめられている。中庭もなかなか立派で美術鑑賞に疲れた時に外の空気を吸いに行くには丁度いい。
根津美術館の庭園
この日は『墨宝』という展示だった。禅僧によって書かれた墨蹟の数々は確かに見ごたえがあるが、あまりにピカピカの展示室に大事に大事に展示されていて、不況を日々痛感しながら生きる私にはいまひとつピンとこない結果となったことが残念だった。お金はあるところにはあって、こういうものを収集し、保管して立派な美術館を建てて展示できるのだということを実感するのには役立ったと思う。まだまだ勉強不足でそれ以上のことはあまりよくわからない。講演会にも出てみたが、墨蹟は禅僧にとって誰の師事を受けたかの証として重要だったということがかろうじてわかったかな。実はとても考え抜かれた展示順のようだが、私にはそこまで楽しむ知識はまったくもってなかった。う~ん、勉強。