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2011年3月19日土曜日

東北関東大震災~疎開2日目

心無き東電が福島を見捨て、隣接する県や都内に住むわれわれのことを省みずにいたおかげで疎開することになってから二日が経った。福島原発の放射能どうこう問題が長期化するとの予測が強まったとの情報が耳に入り、とっととコンクリートで埋めるしかないだろうと腹立たしく思いながらも、気分転換に、わりと近くの嵯峨嵐山に行くことにした。


昨日はエアコンの室外機の音が耳栓をしてもはっきり耳に届いてくるおかげで4時間くらいしか眠れず、朦朧としたまま乗りなれないJR嵯峨野線に乗った。二人乗りの椅子が左右に並ぶというよくあるローカル線の車両には、地元の人よりも観光客が多く見られた。ほのぼのとした車内にいると、この時間だけでも東電への怒りを忘れられる気がした(すぐに思い返すが)。

嵯峨嵐山駅を降りて観光マップを見ると、この辺りにはいくつも観光名所があるのがわかる。そして私ははじめに渡月橋の方へと足を向けた。土曜日で晴天ということもあり、京都市街地から離れているとはいえ観光客は多かった。

何度も行ったことがある小石川後楽園にはこの地を模した庭園部分がある。大堰川にかかる渡月橋の向こうに優美な嵐山がある風景をうまいこと縮小したもので、しかしそれはまったくの鑑賞用の美である。しかし元祖の大堰川は人々に鑑賞目的の観光だけでなく、生活感あふれる広々とした憩いの場をもたらしてくれている。山の落葉樹が多いところはこの季節だと禿げ山のようになっているのだけれども、この日の川の流れがとても穏やかなのに加えてひっきりなしに観光客が橋を渡るので、そして時に威勢のいいかけ声と共に人力車が走るために、大自然を背景に人々が活き活きと過ごす姿から、嵐山がご近所さんのように身近に感じられた。
中ノ島公園から望む渡月橋

その後行った天龍寺はさらに観光客が多かった。若い人も多く、大方丈から庭園に向かう縁側には、ズラッと人が座り、嵐山を借景とした庭園の世界を見入っていた。栗林公園もこうして紫雲山を借景にした壮大でかわいらしい庭園だったが、天龍寺の庭園も本物の山の手前にちょこんと設えられていて、なんだかかわいらしく見える。そして庭園内には竹林があり、嵐山の麓らしい風情がある。
これから天龍寺境内へ

大方丈から見る曹源池

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そして天龍寺を出て嵯峨野線の踏み切りを渡るまで、この竹林はずっと続いた。天空高く伸び出る勢いのために足元のアスファルトには亀裂が入り盛り上がっているところがいくつもあった。今にも出てこんばかりのまだ姿を見せないそんな竹たちに、私はとてつもない力強さを感じた。
竹林
 
そんな竹林をも一気に亡きものにする原発をあんなことにした東電は、気がふれているとしか思えない。そしてこうして結局福島の原発の成り行きが、この日も頭から離れないのであった。