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2011年3月30日水曜日

ひまわり

放射性物質にすっかり心も生活も乱され、ガイガーカウンターを見ながら換気することにいい加減嫌になってヤケクソになりつつある日々(もう相当キレてきている)。もう若くないし放射線なんて気にしなくていいんだと思いっきり洗濯物を外に干したかと思うと、放射線を通しにくいマスクを買って用心してみたり、生協の宅配でようやく届いたトマトやきゅうりの産地がどう考えてもそれなりに放射性物質が届いている地域で愕然としたり。北海道の母がそんな野菜不足を見越してか、先日水と一緒に送ってくれたきゅうりと大根の漬物をバリバリ食べながら、ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニ出演の『ひまわり』を観た(1970年イタリア映画、監督ヴィットリオ・デ・シーカ)。

ストーリーは、第二次大戦で引き裂かれたジョバンナとアントニオの夫婦の物語だ。昨日観た『ああ結婚』同様、裏切った裏切られたともつれるなかで、妻の方が必ず芯を貫きそれに引っ張られるようにして夫の方も人生を決断していくという、イタリアではやはりマンマは強いのかと思わせられる展開だ。

『ひまわり』はあまりハッピーエンド映画ではないが、サスペンスを見ているようなスリルがあった。ジョバンナが、ソ連に戦いに行くも終戦後も戻ってこないアントニオを、それでも絶対生きてると信じソ連に探しに行くところなど、ジョバンナはどうなってしまうのか~っと目が離せない。次はどうなるのか、その次はと、本当に最後まで目が離せなかった。

公開当時は日本での評価は高かったものの、それ以外の国では良い評価を得られなかったことを残念がっているソフィア・ローレンの語りを聞いたが、私には傑作だった。

戦中、戦後のシーンはどれを見ても今の被災地に重なり、重い現実が頭の片隅に常に残る映画観賞だった。