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2011年4月4日月曜日

上空の景色・羽田から千歳へ

山手線は車内の明かりが点いていたものの、そこに入るまでの私鉄は今日も闇の運び人で、かつ車両がUVカットガラスのために、この間電車に乗った時よりいっそう車内は暗かった。乗客もいつもの半分くらいで、ターミナル駅でJRへの乗換えのために通る連絡通路も随分スムーズに通ることができた。車内は真っ暗で異様だけれども、これだけ空いていると移動は楽だ。ただ、どれだけの人が東京から離れたのか、あるいは家に引きこもっているかと思うと、先日行った総合病院がガラガラだったときと同じような奇妙な感覚に襲われた。

成田は国外脱出をする外国人で混雑していると聞いたが、翻って羽田はわりと空いていたと思う。そして空港内はいつもより照明を落としているためにここもまた暗かった。それでも搭乗口の椅子で飛行機を待っていると、徐々に乗客がやってきて乗務員が飛行機へと向かうという普通の光景が始まった。

公衆電話では、無事帰るから、と余震と放射性物質から開放されることを約束する話し声があった。電話の人同様、私も無事飛行機が故郷の北海道に降り立つことを祈る旅立ちだった。そして東京に残る老齢の猫が無事でいてくれることも。
デジカメ使用可になってすぐの景色
雲の影がくっきり

点々とある雲の影

飛行機は日本海側に出た

田畑が広がる

山には雪が残る

また海岸沿いに田畑が
秋田あたりかな

また山

十和田湖(だと思う)

夏泊半島
向こうが下北半島

こちらに津軽半島、向こうの雲の下が下北半島

下北半島の町
大間だと思う

北海道が見えてくると飛行機は苫小牧付近の上空を飛んでいるのか、小麦色の土が一面に広がり、本州とは異国の雰囲気を見せてくれた。山岳地帯は道路が通っているようではあるが人気がなくて近寄りがたく、ここに身をおくのは怖いと思った。それに比べて東北の田畑の光景は人里を想起させて安心するものがあった。

新千歳空港に降りてそのままJRに乗り、札幌に向かった。そこにたどり着くまで一度も外気に触れることがなかったので、札幌駅北口に出たときに数時間ぶりに外気に触れたときは東京より冷たくて、でもまったく春の陽気だった。大雪山に囲まれて育った私はそう感じた。

札幌から大雪山へと向かうバスに乗ると、見えてくる景色がより故郷に近づいた。そしてバスが高速を走っているうちにすっかり安心したのか、眠気が襲ってきた。目覚めた時にはトンネルの手前で雪がほんのりちらついていた。それがもう一つトンネルを抜けるとパラパラと、より多くの雪が舞っていた。数分でこれだけ変わることに驚いたところで上川盆地に入ったようだった。

最低気温がマイナスだったのでロングダウンを着込んできたのだが、ちょっと季節違いかと思う春の陽気だった。