国道237号線の途中を十勝岳の頂上を目指すように東へ向かうと吹上温泉がある。そこまでの道のりはいつの間にか雨が雪に変わるものだった。ポツポツポツポツという雨音は、気が着いたときには山の静けさの中で消えていた。木々には細かい枝まで雪がつもり、緑の葉も雪に包まれ、うっすらした白化粧は下界とまったく雰囲気を異にしていた。ヒトらしい生活感のない光景に自然に肩の力が抜け、ついつい眺め入ってしまった。こうしてつかの間の冬を楽しんだ。
吹上温泉では風が吹くとフワーっと白いものが渦を巻いて太陽を遮るので吹雪かと思ったが、それは温泉の湯気だった。その風はあっちの岩にぶつかるとこっちの木の方へと向かい、いろいろな動きをつくっていた。そんな白い風の動きが、なぜかとても恐ろしいものに思えた。
雪の解けた畑
美瑛の丘
吹上温泉付近