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2011年4月21日木曜日

マノン・レスコー

空は朝から暗雲が漂っていた。なのに夕方になっても雨が降らない一日だった。

我が家では、セシウムは無理でもせめてヨウ素の半減期である8日待ってから水を使おうかと、何本かのペットボトルに水を貯めて部屋に置いていた。そしてそのペットボトルは私が家に居るときは常に視界に入っている位置だった。それは我が家の猫にも丸見えのはずだった。

数日そのような状態で過ごすうちに、目がチカチカしてなんだかイライラしてきた。私はそれがあの並んだペットボトルのせいであることに気づいた。そういえば、猫が敷地に入ってこないようにとペットボトルをたくさん並べている家をたまに見かける。だがここでは、我家の猫はまったくこのペットボトルを気にする様子がないのに、私のほうが先に参ってしまったのだ。その後そそくさと他の場所にペットボトルを移し、ダンボールで覆っておいた。

放射性物質のみならず、予防策として取り置きしたペットボトル水にまで撃退されたのは切なかった。もしかするとペットボトルを置いているのは、猫ではなくヒトを追い返すためなのだろうか、、、。

2005年にウィーン国立歌劇場で上演された『マノン・レスコー』を録画してあったので見てみたが、小澤征爾の指揮するオーケストラは、小澤征爾が台風のように団員を連れ去って行くような感じでキレがあり、とても良かった。ただ、あれだけの迫力あるオーケストラと歌手が奏でるプッチーニの音楽に、あのモダンな演出はどこか私にはしっくりこなかった。

男を虜にする美女マノン・レスコーは、絵に描いたように女のエゴ丸出しの役になっている。そしてこれまた絵に描いたように男達はマノンに翻弄されていく。お金は欲しい、でも大恋愛も楽しみたいというマノンをみて、そんなうまくはいかないわよ~っと観客がツッコミを入れたくなるところで必ず、恋人デ・グリューが裏切ったな~とツッコミを入れてくれるのが、あまりにベタだが時代劇のセリフ回しと思えば面白く見られる。

それでも、この時代劇をモダンな演出で見るのはやはり抵抗が残った。しかし音楽だけは良かったので観てよかったと思う。

スーパーなどで大震災前と変わらぬ値段で水を買えるようになってきたことに、ホッとしている。