先日久しぶりに髪を切りにいつもの美容院に行った。そしてそこで3月11日以降久しぶりとなる、資本主義真っ只中のサービスに再会し、3月11日より前に戻ったようなタイムスリップした感覚に襲われた。
電車やコンビニなどは照明を落としているが、その美容院の店舗内はキラキラに照明が輝き、美容師さんの営業スマイルも大震災前同様健在だった。ああ、資本主義ってこんなにサービス精神旺盛なものだったんだと、久しぶりのこの手の接客に違和感があり、随分贅沢してるんだなと思えた。
それは日々野菜の産地を気にしながら買い物をするのとは異次元の空間だった。
髪を乾かしてくれたアシスタントらしき店員さんが、カラーやパーマはしないんですかと聞いてきたので、私は雑草のように放ったらかしですと答えた。そう、この髪は震災前同様雑草のように今後も放ったらかしだろう。
福島の猫たちは汚染された雑草を食べているのかと思うと、この資本主義という虚飾に満ちた空間での虚構のこの会話が虚しく思われた。だが、会話は空しい響きのままずっと続いた。
頭はすっきりしたものの、何かが胸にひっかかる、久しぶりの美容院だった。