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2011年4月30日土曜日

鴨川散策・下賀茂神社

地下鉄の三条京阪から地上に出ると鴨川が流れている。すぐ近くを走る国道一号線は東京の日本橋まで続いて、国道一号線の始点になっていると夫が教えてくれた。

川岸の遊歩道に下りると、サイクリングやランニングをする人、散歩する観光客が多数この遊歩道を利用していた。鴨川の流れ自体は緩やかだが、いろいろな川からの水が注がれるために、その注ぎ口となっているところの近くでは滝のような音が響いている。

その水音にすっかり注意を奪われていると、昨日穴太寺で見たシロサギがこの鴨川にもいることに気づき、こんな市街地にもシロサギがいることに、京都の自然をあなどっていたことを反省しながら下賀茂神社へと北上した。

歩いていると、京都独特の朝夕の底冷えで冷えていたからだが徐々に温まり、菜の花が咲いてヤマブキの橙色が鮮やかな鴨川沿いの風景を楽しむ余裕が出てきた。そして、嬉しいときも悲しいときも、ここはどんなときでも自分のペースでゆったり過ごせるところだと思えるとの感想を持った。
鴨川に咲くヤマブキ

鴨川

鴨川から川原町通りに出るとカフェがいっぱいある。なぜここにこれほどカフェがあるのかはわからないが、とにかくいっぱいある。その中で、私たちは通りの裏道にある鴨川カフェなるところに入った。そこは広々としたスペースに大きなテーブルと椅子が並ぶゆったりしたカフェで、私は本日のランチを注文したが、低価格なわりに食事メニューもなかなかな充実ぶりと思えるものだった。

カフェで栄養補給をしながら一時間ほど過ごし、足の疲れもどうにか取れてきたところで、再び下賀茂神社を目指した。標識によると、あと一キロとある。朝は随分冷え込んだのが、昼を過ぎたこの時間帯にはすっかり春の陽気で、上着を脱いでも汗ばむくらいだった。そしてがんばって歩いたところでようやく下賀茂神社に到着した。

参道である糺の森には、入ってすぐのところに鴨長明に由来する河合神社がある。ブナなどの落葉広葉樹の多いこの森は、木陰が良い具合にできていて、蒸し暑くなってきたところで私はほっと一安心するのだった。ややもすると奈良の小川の御手洗という小川が見え、そこでは参拝客が手を洗っていた。私も石段を降りてみると、とてもきれいな水に驚き、説明書きによると、これは湧き水とのことだった。そしてこの水で私も手を洗ってみるのだが、本当に手がすっきりきれいになって驚いた。
河合神社

奈良の小川の御手洗

さざれ石

その後君が代にうたわれる「さざれ石」を横切り、社殿がお目見えした。ここでは結婚式を終えた人が記念写真を撮っていたり、祈祷の順番を待っている人がいたりと、参拝客も神主たちも忙しそうだった。
下賀茂神社・社殿

下賀茂神社の参拝を終えた後は再び鴨川に戻り、川沿いで一休みすることにした。来るときよりもさらに人が増えた感のある川沿いでは、午前中はあまり見られなかった子供連れのファミリーも多数見られた。ただ、おそらく福島原発によるものだろうが、京都にしては外国人が少ないのがやや寂しい感じだった。それでも地元の人、国内の観光客で賑わう鴨川であり、下賀茂神社だった。

そして猫好きの私にとって最大のうれしい出来事は、やはり鴨川での猫との出会いだった。小柄でスリムなホワイトソックスの縞猫ちゃんは、ゆったりゆったり土手を歩き、平和の象徴のように私の目には映った。

鴨川沿いで見かけた猫

のんびり歩いている

ただ近づくと警戒する


その後足も大分疲れたことだし京都駅に戻ろうと思ったが、せっかくだからと川原町通りを渡って今出川通りを進み、ほどなくして出てくる京都御所に立ち寄ることにした。

立ち寄るといっても、東西700メートル、南北1300メートルあるというこの公園を南北に歩いて地下鉄丸田町駅まで行こうとの予定だった。あと1300メートル歩くのかと思うと非常に億劫に感じられたが、滅多に来ることもないと思うと貧乏症的欲が出てきて意地でも歩ききろうとどこからともなくガッツが湧いてくるのだった。当然そのガッツをもっと必要なときに出せればいいのにと思うのだけれども(たとえば手術の時とか)。

妙な意地だと思いながらも、永遠と続く御所の肌色の壁に瓦屋根は、子供たちはここにボールをぶつけて遊んでよく怒られたりするんやなどと、夫の他愛もない話を聞きながら歩くとなかなか面白い。東京でこれくらい広い公園は、皇居か新宿御苑くらいしかないと思うが、この規模の公園・庭園となると、やはり大名や天皇家でないと無理なのだろうとつくづく思うのだった。そしてそれは当然のように市民に開放され、実際に多くの市民がくつろいでいるのを見ると、こういう権力だったら悪くないとも思えた。

今はボタンザクラがフワフワに咲いてとてもきれいな京都御所である。意地でも1300メートル歩いてよかった、、、。
京都御所のボタンザクラ