大地震があった翌日買出しに外に出ると、スーパー途中の野球場ではカーンと金属バットでボールをたたく音が響き、そのたびに子供たちが湧き上がっていた。そこには大人が付き添い、聞き取れないようながなり声で指示や声援らしきものを出していた。
その数百メートル先にあるスーパーでは、いつもより殺気立った客たちが、カートがぶつかる勢いで互いに食料を探し求めていた。この時点で水は一本もなかった。レジではカップラーメンを大量に買い求める人が前に並んでいた。
近所をいつも以上に救急車がサイレンを鳴らして走るのは、地震のショックで老人などがパニックに陥ったからなのだろうか。
近所にいる外飼いの猫は、地震の翌日もこれまでと同じ艶やかな顔を見せてくれた。自身の家の境界線のぎりぎり中に身を置き、すぐそばを車が通っても塀があって決してそこより中には侵入してこないとわかっているようで、怯えて逃げる様子もなく、凛とした姿だった。
一方で、石巻市の先にある田代島という猫島の猫たちはどうなったのだろうと思った。
妙にチュンチュンチュンチュン何かの鳴き声が聞こえてくると思ったら、ちょっと遠くで小鳥が大量の群れを成して旋回するように飛んでいた。鳥の強みだ。