ページ

2011年3月10日木曜日

『フェルメール 地理学者とオランダ・フランドル絵画展』

文化村で開催中の『フェルメール 地理学者とオランダ・フランドル絵画展』に行ってきた。ここ数年の文化村の展示のなかでも随分と混雑した会場だと思ったが、これがフェルメールの人気なのだろうか。

歴史画と寓意画から始まり肖像画、風俗画、室内画と展開していく今回の展示だけれども、私は風景画が一番好きだった。この時代のオランダの静物画は金持ちたちが威信をかけて家に飾ったそうだが、あの輝きに満ちた剥き出しのメロンやぶどうを見ると、その後の時代の画家たちが描いた静物画に比べ(たとえばゴッホのじゃがいもとか)、確かに大金を誇示してひけらかすというきらびやかな要素が含まれていると思える。

一番の見ものであるはずのフェルメール『地理学者』は、最初見たときは何がそんなにすごいのかと思ったが、壁に貼ってある解説を読むと、この時代にスペインの支配から脱っして海の覇権を握り貿易大国となったオランダにとって必須の地理学をテーマにしたのは、後の時代にもこうして脚光を浴びるには良い選択だったとわかる。この絵画には、何気なくではあるがいたるところに時代の要素が盛り込まれている。

すべて見てまわるのに混んでいることもあって2時間弱かかったが、なかなか面白い展示だった。