王政時代に、当時まだ10代だった弟が処刑されたという共産主義活動家の女性とイラン王妃という、立場が正反対の二人の女性の対話からなる番組(NHKBS)。
徹底して王妃の立場で生き続ける王妃の態度は感心するが、可哀想にも思えてくる。映画を撮るという名目で取材に来た女性の方が、王妃の包容力や優しさに惹かれ、王政を憎んでいたにもかかわらず、ファンになっていくのがわかる振る舞いだ。
王政の元貧困に苦しんでいた活動家のこの女性と、そんな時に王にプロポーズされて喜んでいた王妃。これだけ立場が違っても、王妃の末娘の墓で二人が涙を流すところに、同じ感情があって、それらを共有していくうちに二人に友情が生まれてくるのが分かる。
処刑や拷問という非常に厳しい時代や政治背景を抱えているはずの二人の出会いが、とても理知的で互いを気配る優しさに満ちているやりとりでまとめられていることに、ちょっとホットできた。