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2010年12月22日水曜日

上空の景色~羽田から千歳

午前、空気は乾燥して晴天。千歳空港行きの飛行機が離陸してシートベルト着用サインが消える頃になると、いつものように富士山が見えてくる。この日の富士山の光景は恐山のようで、手前に広がる薄い雲が宇曽利湖のようにきれいだった。もう見慣れたはずのこの光景が、天候や飛行経路によってその都度微妙に違うことが、庭園の四季を楽しむように面白く、いつも神秘的だ。

飛行機の高度がここまで上がってくると、地上のちょっとした変化が本当にとるに足りない出来事に感じられ、建設中の東京スカイツリーはマッチ棒が立つほどの存在感しかもたらさない。ただ、建設現場で働く人々の労働の汗を思うと、そんなふうに感じられることになにか罪悪感をもってしまい、どうも後味が悪い。

それが東北地方まで移動する頃には、私の精神はすっかり人間社会から隔絶されたようで、田沢湖、ついで現れる十和田湖を目にした瞬間に湧き起こる感動は、私の集中力のすべてを地形の変化へと向かわせるのだった。この後、飛行機が着陸するまでに見られる人工的なものに、私の心が動かされることはもうなかった。

富士山











田沢湖だと思う。


十和田湖だと思う。


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