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2011年1月28日金曜日

マック

JALがマクドナルドと提携してキャンペーンをやっていたために、先日JALで南紀白浜空港へと飛び立った私はマックのプレミアムローストコーヒー無料券をもっていた。なので病院帰りに一休みしようと、無料券を手にマックに寄ってみる。

ここ数年のマックは中高生の自習室代わりとの印象が強いが、平日の昼時は中高生は学校にいる。マックの昼間の客層はというと、すっかり給料を減らされた勤め人が多く、レジの前には大人たちの行列ができている。

店内に入るとまず、熱した油をたっぷりと含んだ空気を全身にまとうことになる。フライドポテトは多くの客がセットで注文するものだが、ジャガイモのあの土臭いでんぷんのにおいではなく、それを揚げる油のにおいの方だけがするのだ。肉を焼いたりコーヒーをいれたりもしているのだからそれらのにおいもしていいはずが、やはり油のにおいしか鼻には届かない。

冷たい飲み物を飲むときのガシャガシャいう氷のすれる音、ハンバーガーを包む紙のクシャクシャいう音、ポテトをかみ砕くときのサクサクいう音と、ここで生じる音は昼間の年齢層の比較的高いのに比べて概ね若々しい。

この時間の従業員はやはり学生バイトでないことが多いのだが、ベルトコンベアの一環のように動くことを要求される店員はもうテンテコマイで、口調にも表情にも笑顔はない。ファーストフード店というより学食のような雰囲気のそんなマックは、平日昼間は一人で来店する人が多いらしく店内は以外に静かだ。だから一番奥の席に座ってもレジの方で、コーラ一つ、などと店員が注文を繰り返す声がちゃんと聞こえてくる。

窓の向こうには駅前のバスターミナルが円を描くように広がっているが、ここは随分と防音のしっかりした窓のようで、二階だというのにバスの走る音はほとんど入ってこない。

本を読んだり、ゲームをしたり、ノートを書いたりと、客はそれぞれに日々の課題を乗り越えるべく過ごしている最中も、とにかくレジとその奥の厨房だけは忙しい日中のマックは、大漁の日の港町のようだ。

すべてを油で包む低価格路線、今後の行方が気になる。