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2011年2月12日土曜日

ヴィジェ・ルブラン

ブリジストン美術館恒例の土曜講座に行ってきた。内容は3月1日から三菱一号館美術館で開催予定の『ヴィジェ・ルブラン展』についてで、学芸員の安井 裕雄 氏が話す。

ヴィジェ・ルブランの野心に満ちた自画像はパンフレットで見てもとても印象的だが、それを裏付けるような生き方が見事だ。

目利きの画商と結婚して、マリー・アントワネットに気に入られ肖像画を依頼されるようになったかと思うと、アントワネットのコネでアカデミーの会員にもなってしまう。この出世をモノにする処世術とそれに伴う他者の負の感情をものともしないタフな野心に、美しい自画像の笑顔の奥の彼女の本性がある気がしてとても興味深い(当時最大のライバルだったのはラビーユ・ギアール)。

バリバリの王党派を最後まで貫くもフランス革命を無事逃れて行った先々でまたまた王侯貴族の肖像画を描き残すあたりは、アントワネット時代と変らない。王侯貴族の扱いがよっぽど上手いのだろうが、やはり王党派であることを貫く強さには一目置いてしまう。

その後夫が亡くなり娘、弟が亡くなった後も22年生き延びて87歳で大往生したヴィジェ・ルブラン。この人生を生きた人の自画像を見ずにはいられないと思わせる魅力を感じる講演内容だった。安井氏、おもしろいぞ。