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2010年11月20日土曜日

尾道の衝撃

(広島三泊四日の旅の続き)
この旅の三日目は尾道の古寺巡りをすることに。
尾道で泊まったホテルの人に聞いて行った尾道ラーメン『つたふじ』。
あっさりしたスープなのですが、飲むほどにおいしさが際立つ一品です。

明日の早朝は冷え込みますとの天気予報を前日テレビで見たものの、当日の空は晴れ渡り、朝8時過ぎにホテルを出たときの冷え込みは、お昼前にはすっかりなくなりありがたいほどの観光日和。
尾道はとにかくお寺が多く、海岸から山陽本線を越えて山側に行くと、石畳や石段をちょっと歩けばすぐにお寺に当たります。因みに尾道に石段や石畳が多いのは昔石が豊富にあったからだとか。

平地だけでは宅地が足りなくなるほどに一時は繁栄したという尾道。そのためにすっかり坂の町、石段の町の印象が強いのですが、私の印象では、現在の尾道の町には残念ながらかつての繁栄の様子が伺えず、不況の雰囲気というか活気の無さを感じます。それは数年前千歳空港に降り立ったときも感じ、都内でも感じることですが、やはりここ尾道でも、対岸の向島でどんなに造船工場が稼働中でも拭いきれない空気でした。

向島・造船のある風景 
海の向こうの向島にはズラッと造船工場が並びます。

こんなふうに

夕暮れの尾道水道

尾道名物渡船乗り場
向島に行くのにいくつもの乗り場があるのがすごいところ

私は駅の目の前の乗り場から向島に渡りました。
100円で乗れて数分で向島に着きます。
ピストン輸送で行ったり来たりです。
ほんのちょっとだけ行った向島はとても静かなところで、
近くにあった厳島神社だけ参ってすぐにまた船に乗りました。

お寺巡りの途中、どうしても民家の間を通らなければならないのですが、廃屋がそのままになっているのを見る機会が多いことに何より驚きました。坂の町尾道、確かに高齢化が進む今日、この坂の真っ只中の土地を買って住もうという隠居老人はそうそういないかもしれません。

必ず一度は行ってみたい風情の町尾道のイメージから一転して、何か殺伐とした印象を受けた私の尾道古寺巡りは、そんな心のギャップをよそに尾道駅の近くの持光寺から始まりました。順路の参考にしたのは観光案内所にある尾道市街地観光案内地図です。
二階井戸

持光寺石門

本堂

境内の様子

持光寺から尾道を見下ろすとこのようになります。
すでにけっこう上りました。

独特の石門が特徴の持光寺へは、二階井戸のそばを通っていきます。そして早速石段が。朝の肌寒い時間なのでなかなか良いウォーミングアップになりましたが、尾道寺巡りの目玉とも言える千光寺に辿りつくまでに、その後海福寺、光明寺、宝土寺、ついでに一宮神社とこぢんまりした神社仏閣を五つまわってその時点ですでに足はフラフラです。でも千光寺へはロープウェーを頼らずに行きたいと思ったので千光寺新道をよっこらよっこら上り中村憲吉旧居に立ち寄って、休み休みしながらどうにかこうにか千光寺の境内へ。各お寺に椅子があって本当に助かりました。

古寺巡りのためのこうした案内があるので
細い小路も迷わず巡ることができました。

光明寺

海福寺・門

海福寺

一宮神社

宝土寺 


こんな石畳の坂道を歩き続けます。

尾道の石畳と猫
他にもたくさんの猫と出会いました。
いずれ猫の画像もアップします。 

天寧寺三重塔

天寧寺本堂

天寧寺五百羅漢
圧巻でした。

中村憲吉終焉の家
近くには志賀直哉旧居もありましたがコースから外れてしまい、
力尽きたこともあってそちらには行きませんでした。

中村憲吉の家の中

八畳と六畳の二部屋の家でした。


歩きに歩いてようやく千光寺境内へ

本堂

本堂付近から望む尾道水道
ずっと向こうに尾道大橋が見えます。


数ある巨岩の一つ

アカマツが多い千光寺

岩に食い込むアカマツの根

空に突き出るアカマツ

巨岩、奇岩は前日行った弥山で慣れてはいたものの、千光寺境内の奇岩たちもなかなかの見物でした。さらに上ると千光寺公園でそこにある展望台からは尾道の町としまなみ海道、三原方面などが360度見渡せ、瀬戸内海独特の自然の姿を楽しめます。
千光寺公園展望台から

三原方面

もっと山側の三原方面

千光寺を出るときは大分疲れていたのでロープウェーで下り、天寧寺、妙宣寺、善勝寺、慈観寺、正授院、御袖天満宮とめぐった後、ロープウェーの案内をしていたお姉さんが是非ともおすすめとおっしゃっていた西国寺へ。このお姉さん曰く、地元の人はこういうお寺巡りはしないとのことでした。この方も、案内の仕事をするにあたって一度だけ古寺巡りを制覇したそうです。

西国寺はとても大きなお寺です。西国寺を下りたところにさらに5つほどお寺がありますが、疲労のため、それらを飛ばしてロープウェーのお姉さんが勧めてくれたもう一つのお寺である浄土寺へ。こちらも大きなお寺です。

御袖天満宮

大山寺

西国寺

この大きなわらじが特徴らしいですが由来わからず。

西国寺境内

金堂

大師堂

三重塔

尾道古寺巡りをしていて思ったのが、どのお寺にも観光客はほとんどおらず、そのためだと思うのですが私があてにしていたスキップラインなる市内循環バスも土日しか走っておらず、思いのほか観光客が少ないのだと思いました。次の日に行った鞆の浦は午前中はまばらだった観光客が、午後になると団体客がわんさかやってきて、細い路地がいっぱいだったのが、尾道ではそのような光景も見られず意外でした。たまたまなのでしょうか。
西郷寺

古寺巡りの最後・浄土寺

多宝塔

阿弥陀堂

いくつかのお寺を飛ばしながらも一通り寺巡りを終えたのが午後一時過ぎ。空いた午後の時間はどこかの島に行こうと思い、尾道港から一時間後に出航する因島・重井港行きの高速船に乗ることにしました。

高速船に乗るのは初めてでワクワクしましたが、なんのことはない、デッキには出られず窓に飛沫をうけながら揺られること20分。無人駅のような重井港は、それを上回る無人ぶりで、時刻表が港にないのです。観光客はどうすればいいのだろうと憤りを感じ、帰りの時刻表をもらっといて良かったと思いました。なんと恐ろしいところに来てしまったのか、でも引き返すには1時間半くらい待たなければ船は来ない、いっそしまなみ海道をバスで帰ろうとバス停を探すも、地図で見ると歩いて行けなくもないだろうと思えるバス停が、みかん畑のなかでは果てしなく遠く感じるのでした。挙句の果てに楽しみにしていた白滝山と五百羅漢は、港から10分ほど歩いたところでみかん畑すらなくなり「白滝山1キロ」との看板を見つけて遭難でもするのではないかと進むのを諦め、17時半過ぎの船で帰るつもりだったのを15時台の船で帰ろうと決意するのでした。そして時刻表もなにもない重井港でおばあちゃんと二人、高速船を待ちわびるのでした。完全に生活のための港だったんですね。あまりに無謀な船の旅でしたがとても貴重な体験でした。この因島初上陸を経て、私の観光っ気のない尾道印象はどんどん強まるのでした。
重井港を後に次の瀬戸田港へと向かう私の乗っていた高速船

重井港からの眺め

因島にはこんな木がありました。
何の木かはこれから調べます。

ひたすら続くみかん畑

竹林もありました。

こうして白滝山への道が続きます。
私はここで港へと引き返しました。

無念な気持ちを押し殺し、
白滝山の頂にあるという五百羅漢を目指してシャッターを切りました。
多分この方角のはず。

向こうの山は違う島だと思います。

重井港に戻りました。



この日夕食にと行ったのが海岸沿いにある花あかりというレストラン。注文した天ぷら定食1280円は素材の味がとても良かったです。茶碗蒸しも最高でした。昼頃このお店の前を通ったときはものすごく混んでいたので夜も混むかと心配してましたが、5時前だったこともあり、他にお客さんはいませんでした。

なかなか工夫を凝らしたお品書きの花あかりです。

この後お土産を探し歩いてようやく買った北前亭のちりめんじゃこ、とても美味しかったです。