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2011年5月18日水曜日

湯布院からバスで別府へ

この季節の由布院の朝は、紫外線の強さを気にしなければ爽快である。

宿を9時過ぎに出て金鱗湖から駅に向かう道を川沿いに歩くと、首の長い白鳥のような鳥が足湯している姿が見られる。といっても川の魚か何かを狙っているだけなのだろうが、ここ由布院ではそう見えるのだった。

先日とはルートを変えて川の東側を歩くと、温泉観光地の湯布院とは別の田園風景が広がることがわかる。稲を植えたばかりの水田は、穏やかな天気のなかで静かに佇み、四方を山に囲まれた湯布院のなかでも別格の静けさだった。北に聳える由布岳は、緑のジュータンに覆われた稜線が波うち、ここまで晴れ渡っていると、より美しく見えた。

そんな景色に感動しながら20分くらい歩くと駅に通じる参宮通りに出たので、川にかかる端を渡り駅に向かった。するとどう聞いても自動車とは違うものが走ってくる音が聞こえる。パッカパッカパッカパッカと、それは馬車だった。私が5歳くらいのときに、冬の白銀の旭川で馬車が車道を走るのを見て以降、初めての馬車が車道を走る姿だった。その辻馬車は私同様駅に向かうようで、数名の観光客を乗せていた。馬車を操るおじさんはハイヤーハイヤーととても誇らしげで、私が後に駅についたときには馬車の停留所で馬と一緒に休んでいた。そして馬は人気者だった。

昨日人力車のあんちゃんが教えてくれたように(乗ってはいないが)、川の東側の湯布の田園風景は昔ながらの風情を残し、心和むものだった。由布岳の麓には田園が広がり、小川には魚が泳ぎ鳥がいて、車道を馬が走る湯布院は、確かに最高の温泉地だと思える。


その後湯布院から別府へとバスで向かった。

由布岳の中をバスは走り、つい先ほどまで遠めで見ていた景色が間近のものとして迫りくる姿はとてもワイルドだった。好き勝手に生える木々の間に岩がゴロゴロ転がっていて、いかにも手付かずである。

ずっとずっとそれが続くと、急に人里が現れ、○○温泉、○○温泉と、次から次へと温泉街を通りすぎていく。そして海が見えてきたところで別府に入ったことがわかり、まもなくバスは停まった。

別府の駅周辺は、特にに高層ビルなどがあるわけではないが、とても建物が入り組んでいる。そして温泉街だけあって、海のほうまで温泉宿がいたるところに見つけられる。5月はアルゲリッチ音楽祭があるので駅や道路、ビーコンプラザ周囲には、アルゲリッチ音楽祭の旗やポスターが並んでいる。これだけ宣伝されていると、さすがのアルゲリッチでもドタキャンしにくいだろうと思う。

私は別府湾の方まで歩いてみたが、白い砂浜に透明の海水が静かに打ち寄せていた。砂の中には小さな貝殻の砕けたものが多く、いろいろな種類を見つけることができた。

日差しが強くて砂浜に長時間寝転ぶ勇気はなかったが、ちょっと奥まったところにある木陰から望む別府湾は私にとって久しぶりの海であり、よく見ておかないともったいないと思えた。私は海水浴は好きではないが、こんなにきれいな海なら入りたいと思えてもきた。

しばらくそうして過ごし、地獄めぐりへと向かった。

由布岳と田園

こちらも

湯布院の車道を走る馬車

由布院駅で一休みの馬車

別府のとよ常で食べた鳥天定食
ものすごくやわらかい鳥に感動

別府の町はこんな風にアルゲリッチ音楽祭の旗がいっぱい

別府駅構内にあるアルゲリッチ音楽祭の写真の数々

木陰から望む別府湾
手前の銅像は「かるめん」とあった

駅から竹瓦温泉に向かう途中にはアーケード商店街があり、今は不況のあおりかシャッターが下りている店が多かったが、駅前よりも昔ながらの温泉街の雰囲気が残っている。そんな別府の街を歩いていると、やはり出会うのであった、そう、猫と。

別府で見た猫はみなスリムで、暑い気候を生き抜く身体と思えるものだった。以下そんな猫たちの画像である。

こうして小路でくつろぐ猫


でも近づくとこうして警戒して起き上がる

近くにはこんな猫も

またもや猫

この後、やはり逃げられた

窓越しの猫