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2011年5月22日日曜日

別府タワー

別府で宿泊したホテルからは、夜になると燦燦と輝く別府タワーのアサヒビールのネオンがずっと見えていた。竹瓦温泉入浴後まだ時間があったので、距離も近くちょうどいいと別府タワーに行ってみた。

17階の展望所からは、別府市を四方見渡すことができる。私は別府湾の方に設けられたソファに腰を下ろし、しばし海を眺めていた。

左右に陸地が迫り出し湾をつくることとなったこの地形は、この日は波が静かで、近くには白茶色の砂が輝くビーチがある。別府には、私がざっと見たところ、大企業の全国展開しているようなホテルはそうそうない。どちらかというと、古びた温泉旅館やホテルを何とか維持しているように見える。大分第二の都市としてはとても小さく思え、大分が全国的に影が薄いのがわからないでもない。泉質でいえば北海道のお湯の方が好きな私は、アルゲリッチ音楽祭がなければそうそう別府には来なかったと思う。音楽祭の仕掛け役である伊藤京子さんがアルゲリッチを非常に信奉し、並々ならぬ努力でこの音楽祭を開催するに至り、十数年続けていることをありがたく思う。

駅からの大通りを歩いているとショパンの曲が流れていて、さまざまな街の喧騒に紛れてはっきりとは聞こえないものの、恐らくそれはアルゲリッチが演奏しているものだと思うが、私が宿泊したホテルの従業員の方々などは、アルゲリッチ音楽祭に関心などないように見える。ところが公演会場であるビーコンプラザに行ってみると、そんなおばちゃんたちがアルゲリッチTシャツを着てスタッフとして働いていて、別府市民にもそれなりにアルゲリッチが浸透しているのかとも思えた(若いスタッフの方がはるかに多いが)。

東京では考えられないが、ホテルの食堂のおばちゃんなどは、平気で大声で日常会話をしている。地獄めぐりをしていても、そのような本当にのどかな光景がいたるところにある。そして、大分空港行きのバスを待つ北浜バス停の前には、恐らく観光客を拾うためと思われるが、別府の市街地では見たことのないスターバックスがあるのである。全国展開するチェーン店はこのようなところにしかないのが別府の実情である。

私にとってそんな別府の最後を、タワーの上から一望できたのは良い記念になった。また来年アルゲリッチ音楽祭に来て、今回行けなかった別府八湯に入りたいものである。
ビーコンプラザのアルゲリッチの垂れ幕


別府タワー展望所から
南側

こちらは北側