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2010年10月22日金曜日

香水瓶の世界

東京都庭園美術館の西洋庭園ではキンモクセイが枯れ初めて香りもほとんど発しなくなるなか、、美術館では『香水瓶の世界』という展示が公開中でした。香水にそれほど興味をもったことのない私ですが、覗いてみることに。

入って早々どでかい香水瓶のお目見えでちょっと驚きましたが、それでグッと興味をそそられました(主催者側の思う壷か)。瓶ではなく『香水塔』とあるように、人の背丈ほどもあるアロマランプです。

展示されていたもので一番古いのが紀元前20世紀頃の香水瓶だと思うのですが、香水は昔、宗教儀式に用いられていたそうです。その後当然のように王侯貴族の愛用品になり、それが17世紀になると疫病対策に用いられるようになって、においの強いものが求められました。

この頃までのものも十分凝った装飾の施された香水瓶たちですが、18世紀になるとより装飾性が強調されていくように思いました。20世紀はルネ・ラリックの香水瓶が異彩を放ちます。確かにラリックの繊細でシャープな感覚は溜め息ものです。一滴勝負の香水に負けない容器を数々生み出してます。

さまざまな変遷を経て現代に至る香水瓶ですが、京都の泉屋博古館で見た中国の青銅器の流れに近いものを感じます。古今東西人間のやることに違いはあまりないのか・・・。
 
主役は香水のはずなのに、それをおさめる瓶にこれほどの手間暇をかけるのはなぜなのでしょうか。オシャレは下着からというのと同じようなものか、それともアクセサリー的、置物的要素が強いのか。やはり無印良品や百均で売っているプラスチック容器ではだめなのか。なにはともあれ、そういうニーズがあるというのは確かなようです。
 
概ね華やかな印象の香水瓶の世界と、香水瓶を通して見る人間の歴史でした。