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2010年5月28日金曜日

上空から見る富士山~羽田から長崎

5月に長崎に行った際、天気が良かったために、
羽田から長崎までの飛行機内で、
はっきりくっきりと富士山を見ることができました。

飛行機(スカイネットアジア航空)は、ちょうど富士山の横を通過しました。

その富士山が見えるまでには、
空港行きモノレールの上から旧芝離宮恩賜庭園を見て江戸情緒に触れ、
飛行機が離陸してからは資本主義むき出しの工業地帯が見え、
その奥左側にはどこまでも平らな房総半島が続きます。
そしてありの巣のような家々が続いて数分もすると、
急に山岳地帯に入ります。

そこでは妙にシャープなラインの切り込みが山々に入ってます。
もうしばらく飛ぶと、日本の名峰富士山が頂に雪をかぶって見えてきます。
切れのある山岳地帯が、
一変してそこだけなだらかな傾斜のどでかい山に変わるのです。
初めて見る人にとっては異様な光景かもしれません。

孤高の富士山には、
人や物資を運ぶであろう細い道が上の方まで続くのが見えます。
見えはじめてからいつまでも消えない富士山には、
その大きさがどれだけかを実感させられます。

ここですでにモノレール沿いにあった旧芝離宮恩賜庭園の記憶は
すっかり消し去られるのでした。

富士山を通り過ぎると、またまた山岳地帯です。
そして飛行機は、雲の中へと入っていきました。

雲から出て大分南西に来たと思われるのですが、
山岳風景がすっかり変わっているではないですか。
雲に包まれてるあいだに何が起こったわけ~。

シャープなラインから、
毛足の長い緑色のジュータンのような森林に変わってます。
そして眼下には海が広がります。
どういうこと~一体どこまで来てしまったの~と叫んでいると(心の中で)、
機内アナウンスで、あと5分ほどで着陸態勢に入りますとのこと。
そう、ただ単に目的地の長崎に近づいただけだったのです
(それでこんなに盛り上がれるのはお手軽)。
通りで景色が変わったわけです。

出発前に、
北海道に住む姉からようやく桜が咲いたとの連絡がありました。
東京の桜はもうすっかり散ってしまったのに。

北海道、東京、長崎と、
縦長の南北にのびる日本列島の上をこの飛行機は飛んでいるのだなあと、
郷愁の思いにふけるのでした。

ここでちょっと豆知識。
機内の長崎情報誌にあったのですが、
三川内焼というのをご存じでしょうか。
長崎県佐世保市の三川内で作られている磁器のうつわです。
その薄さ、実に一ミリ以下という貴重品でございます。
卵の殻のように薄いことから「卵殻手」と呼ばれるこのうつわは、
今から200年ほど前に誕生しました。
そして出島より輸出され、ヨーロッパでも人気があったそうです。
その後、時の流れとともに忘れ去られた卵殻手ですが、
五光釜の藤本岳英氏が現代によみがえらせました。

長崎にはいろいろな歴史があることを、
いろいろなところで知らされる旅になりそうな予感が・・・。

こうして読んでるうちに飛行機は
佐賀県から長崎県のあたりにきたようです。
この辺の上空に入ると、感動がいっぱいです。

どこを飛んでるのかはっきりとわからないのですが、
空から見る町並みが石畳のようにきれいです。
なだらかな低い山の連なりには、
文字を書いたような、文字ではないような、
そんな木々の群生して生きる姿が目に飛び込みます。

その向こうに広がる整った田園風景とくっきりした海岸線。

手つかずの大自然というわけではないのに、
大自然の雄大さを残しつつ、
人の手の加わった居心地の良いガーデンのごとき空間が、
そこには無限に広がってます。

長崎空港が近づくと、景色はより整えられ、
トランプをきれいに並べたように、茶色の土の畑が、
あちこちに広がっていきます。
時に見られる段々畑は階段のようで、
自分が巨人になって庭を眺めているような感覚に浸ります。

そして空港に着くと、
そこから市内までの道路沿いにはどこでも花が咲いています。
長崎県の美意識がうかがえます。
香川県も同じくきれいでしたが、長崎もすごいです。

空港からのバス内で、そろそろ長崎市内ですとのアナウンス。
そしてバスがトンネルをくぐると、
突然山間を埋め尽くす家々が現れ、坂の街長崎に入ります。
こんな、伊豆の踊り子みたいなことってあるんですね。
(伊豆の踊り子ではトンネルを抜けると雪ですが。)