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2010年4月18日日曜日

長野県・御柱祭

奇祭とも言われる長野県・諏訪大社の「御柱祭」。
数えで7年に一度のお祭りです。この祭がいつから行われているのかは定かでないようですが、室町時代の「諏方大明神画詞」に、平安初期の桓武天皇の時代に「寅・申の干支に当社造営あり」とあるのが最初の記録だそうで、実際にはそれより前から行われているそうです。1200年以上続く祭です。

この祭の一番の見所は、木落し坂から長さ17m、直径1m、重さ10トンを超えるモミの巨木に、選ばれし氏子が乗ったまま落ちていくシーンではないでしょうか。4月初旬にNHKハイビジョンではそのシーンを生中継していました。

舞台は諏訪大社。諏訪市の上社本宮、茅野市の上社前宮、下諏訪町の下社秋宮、下社春宮の二社四宮です。

木落し坂以外にも、上社、下社それぞれに、巨木を山から里へと引き出す「山出し」と、神社までの道中を曳いて各社殿四隅に建てる「里曳き」があり、3日ずつ、計12日間行う神事が続きます。今回は2010年4月2日から5月10日まで。丸太に乗る人以外にも、ロープを引っ張ったり、歌って応援したり、豚汁を作ってパワーを養ったりと、21万人の氏子が参加するそうです。

この祭では巨木の下敷きになったりして死傷者が出ることがあります。
近頃のご時世では、小中学校でそんな事故があったら即中止で行事自体がなくなりそうな勢いですが、死傷者が出ても1200年以上続いてきたこの祭。奇祭といわれるだけのことはあります。それでも現地の活気は失われず、それをやることが生きる歓び、支えになっている氏子さんたち。「どうでしたか」とのインタビューで「最高、とにかく最高です」と答えておられました。寒かったり、怖かったりしても、終わった後の達成感はだからこそひとしおなのかもしれません。祭というのは鬱屈してきた社会で普通の生活を送る人に晴れ舞台を用意して、活気づける効果があると思います。今では1200年以上続いてきた祭に自分が参加するとなると、氏子さんたちは歴史に自分が参加してるという気持ちも当然お持ちと思います。消防車、救急車が待機するなか、こうして祭は男のホモソウシャルな活気ととともにとり行われます(目立ちませんが女性や子供も参加してるそうです)。巨木に乗るのは地元に貢献したとみなに認められた人で、その地においてはとても名誉なことのようです。それは張り切るでしょう。 

日本の原風景の残るところで、日本人にはやはり、ハレとケが今もなお大切なんだなあと思いました。ただ、少子高齢化のなか、今後どうやってこの力技祭を続けていくのか一抹の不安がよぎります。長野県諏訪の男子は草食男子では許されないんだ。伝統を残そうとの思いはあと何年、それか永遠に保たれ続けるのでしょうか。

因みに、秋には諏訪地方の各地区にある神社(小宮)でも御柱祭が行われるため、この辺りは一年を通して盛り上がるそうです。