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2010年6月2日水曜日

エドガー・ドガ

BSハイビジョンにて『ドガ 踊り子の画家 それは純真か偏愛か』
という番組を見ました。

ドガといえばバレリーナというイメージでしたが、
ここまで徹底してバレリーナを描いていたとは知りませんでした。

裕福な生まれのドガは、父の庇護のもと画家生活を始めますが、
父が借金を残して亡くなり、最大の擁護者を失います。

そして、ドガは視力の病気も患います。
光に弱い、見るものの中心が見えないという症状です。

そんななか、ドガの作風はパステル画を好むようになり、
街灯ができ始めた夜のパリを描くようになっていきます。
そう、娼婦たちです。

もともと芸術好きの父のもと、
オペラ座に行ったりしていろいろな芸術に親しんできたドガ。
ドガは、いつの頃からかバレリーナを描くようになります。
踊り子の華やかな面と、それとは違う現実の両方を描いてます。

当時のバレリーナは今と違って、花形ではなかったそうです。
デビューすることは誰かの愛人になること。
そういう世界だったようです。
ドガはそんなバレリーナたちを取り巻く環境も
絵の中でそこはかとなく描いてます。

ある時、14歳のバレリーナの彫刻を発表するのですが、
それは彫刻にしてはめずらしく、バレエの衣装を着ています。
それは生々しくて醜い姿との不評がひどく、すぐに展示をやめたそうです。

モデルはマリーという実在の少女だったそうです。
パリのなかでも相当の貧困層で、
父親が死んだ後は同じくバレエ学校に行っていた姉が売春をし、
盗みの罪で投獄されたそうです。
マリーもまもなくバレエ学校を退学してます。

ドガはその少女の強さに引かれたのだと研究者は語ってました。

ほとんど光を失い絵を描けなくなってからも、
ドガはひっそりと人知れず、バレリーナの彫刻を作り続けていました。

この番組、少女と祖母の会話形式で進んでいくのですが、
最後、マリーはおばあさんでした~で終わるのです。
なんとも憎い計らいです。

ドガは踊り子の見方だったとそのマリーは語ってました。