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2010年6月8日火曜日

『忘れえぬ女』 イワン・クラムスコイ

フジコ・ヘミングについて話を聞く機会があって、
何でもいいからピアノ曲を聴いてみようと
家にあるショパンのピアノ協奏曲のCDを引っ張り出してきたら、
そこには『忘れえぬ女』の絵が表紙に使われてました。
ということで、私の興味はすっかり『忘れえぬ女』の方に・・・
だって、「忘れえぬ」ですよ。

というのも、去年、Bunkamuraザ・ミュージアムにて開催された
『国立トレチャコフ美術館展 忘れえぬロシア』で、
実物をみて忘れえぬ印象が残っているからなのです。

イワン・クラムスコイの描いたこの絵の女性は、
気高く、慎ましく、尊大で、でもその目はすべてを見透かしてるようで、
黒い服に黒い帽子、そしてその帽子には白い飾りがついていて、
女性の美しさを引き立てます。
背景は薄く白く描かれていて、
馬車に乗ってるであろうこの女性の雰囲気と共に、
ロシアをたっぷりと思わせます。
その表情は、まさにロシアのモナリザです。

この展覧会で展示されていた画家は他にも
アレクセイ・サヴラーソフ、ニコライ・ゲー、
イワン・シーシキン、ワシーリー・ペローフ、
イワン・クラムスコイ、イラリオン・プリャニシニコフ、
アルヒープ・クインジ、ワシーリー・ポレーノフ、
イリヤ・レーピン、ニコライ・カサトキン、
イサーク・レヴィタン、コンスタンチン・コローヴィン、
アブラム・アルヒーポフ、ワレンチン・セローフ、
イーゴリ・グラバーリ、コンスタンチン・ユーオン 
などなどたくさんいるのですが、
ロシアの寒そうな風景画の印象以外私はよくわからず、
とにかく、『忘れえぬ女』だけが記憶に留まっているのでした。
 
ただ、画題を直訳すると「見知らぬ人(女)」が正しいそうです。
誰かが「忘れえぬ」にしてしまったのですね。
 
ショパンのCDも聴かないと・・・。